着物サローネ2019に行ってきました その3
かなり大きな台風でしたが、皆様大丈夫でしたでしょうか。
被災された方や地域の一刻も早い復興をお祈りします。
さて、内容が盛りだくさんの着物サローネ。
前回はマルシェについて書きましたが、今回は各ブースのコーディネートについてご紹介します。
それぞれのブースの商品を着飾ったコーディネート例のトルソーが会場のあちらこちらに展示してありましたが、その数、実に60体以上!
今回はその中からいくつかをピックアップしてお伝えします。
(縦長写真のため、読みにくくてすみません)
まずはこちら。
エントリーナンバー3
出展者:小林染工房
コーディネート名:『日本橋ブルー』粋
コメント:江戸の美意識に『粋』と言われる目に見えない言葉がある、つやっぽい、なまめかしい言葉を銀鼠の生地と肩周りと裾を青の縦横格子のシケ引きで、熨斗目に暈し染してみました。
安定の小林染工房さん!
この青がとても気持ちがいいですねガラスの帯留めもピッタリと合って、とても上品な仕上がりです!
シケ引きという刷毛を使った染は、13メートルの長い反物を柱の間に吊るして行う技法ですが、小林染工房さんの技法がてんこ盛りの素敵な着物でした。
エントリーナンバー4
出展者:柴田織物
コーディネート名:エキゾチックブルー
コメント:羽織と着物は縫取の技法を使い、4重織で織っております。使用している横糸は非常に細く、細い糸をたくさん織り込むことでたくさんの色合いを発色しており、同時にしなやかな風合いを生み出しております。帯については、タイルの発色をさせるため、透明なナイロンテグスを表面に被せて織り込んでおり、独特な光沢と透明感を表現しております。
織りにこだわったコーデでパーティー、イベントへおでかけください。
こちらも織りが素晴らしい柴田織物さん。
4重織りとあるとおり、織模様は自由自在に表現することができ、とても細かい織りがたまりません。
また、帯のタイルっぽさを出すためにテグス(つまり釣り糸)を織り込んでしまうという大胆さにも感心です。
女性は染め、男性は織りに惹かれると言われますが、これはアカンやつですよ!
エントリーナンバー11
出展者:登喜蔵
コーディネート名:千年の椿
コメント:椿の花を染料にして織り上げた着尺です
椿は登喜蔵にとって特別な植物です
工房のある与謝野町の町の花です
大江山の山中に樹齢1000年以上になる藪椿があります
杉木立の中に佇む「千年椿」の姿をモチーフにコーディネートを考えました
椿の花の染料は繊細です
染め重ねていくことが必要です
長い時間をかけて染めた色の奥にひそかに香る彩を感じてください
大人色の紬
これまた素敵な登喜蔵さんのコーディネート。
山に分け入って集めてきた椿の花を煮出して染料を作り、繭を染め、染重ねて色をつけた物をずり出しという技法で糸を紡ぎ、それを反物に仕立て上げるという途方も無い手間がかけられた作品。
でもこの優しい雰囲気の紬は登喜蔵さんならではの反物なので、いつかは絶対に欲しいものの一つです。
エントリーナンバー16
出展者:おべべほほほ
コーディネート名:消しゴムハンコの片貝木綿とモリスの名古屋帯
コメント:片貝木綿を消しゴムハンコで楽しく柄づけしました。
イメージは、古くて楽しいモザイクタイル。
伝統的な物を現在のテイストに合わせて楽しむモザイクタイルは、普段着物とちょっと似たところがありますね。
帯は大人気のウィリアムモリスの名古屋帯、バッグはち江すさんのミニボストンです。
こちらの可愛らしいコーディネートはおべべほほほさんの作品。
すっきりしつつ可愛らしい柄の着物とアレンジの効く帯、そしてモザイクタイルのような帯留めでとても可愛らしい着物だと思います。
エントリーナンバー24
出展者:吉春吉
コーディネート名:吉春吉のトータルコーディネート
コメント:日本に昔から伝わるものごとを軸として日本の色や素材、そして文様など身近に感じてもらえるよう手描きで描き、パーツからひとつひとつ手作業で作っております。
アクセサリー作品ではお洋服とお着物両方で使えるアクセサリーをテーマにし、髪飾りや袂クリップ、帯留めなどフォーマルからカジュアルまで使えるようデザインしています。
帯は絵を身につけるようなイメージで制作しました。
手描きで制作しています。
こちらもかわいらしいコーディネート!
可愛さを全面に押し出すタイプではありませんが、スッキリかわいい雰囲気がとても良い感じです。
半襟もアレンジを加えて、上手に和洋ミックスができそうな感じですね。
エントリーナンバー25
出展者:ち江す
コーディネート名:おとぎ話
コメント:読書の秋ですね。
美しい本の表装や栞をモチーフにデザインしてみました。
ろうけつ染めで、ひとつひとつ染め描いています。
こちらは若い方に是非楽しんでいただきたいファンタジーチックなコーディネートのち江すさん。
この世界観がとても好きなのですが、男性物がなかなかないのが残念。
密かにフィルム柄の半襟と角帯を狙ってます。
エントリーナンバー26
出展者:染織こだま
コーディネート名:極みカジュアル恋もよう
コメント:今回のテーマは、「縞や格子以外の木綿」
柄を織り出す、柄を染めだすことで生まれる布の中でも、絣や染めにこだわってみました。
きものは、久留米絣重要無形文化財技術保持者の小川内龍夫さんの、丹精込めた久留米絣。
帯は優しい色合いの栗山紅型の染帯です。
力強い藍の着物に、優しい帯の染め色が相まって、しっとりとした組み合わせになりました。
木綿を、もっとおしゃれに、もっと楽しく
ときには少しおすまししてお召しいただける木綿着物があることを、お伝えしたいと思います。
染織こだまのブースには、山盛りの絣の着物と、染めの着物があります。素材も木綿以外にウールがございます。
木綿の着物といえば縞柄や格子柄が定番ですが、そこに手間を加えに加えたのが絣の着物。
絣独特のふわっとした表現と木綿の心地良さ、落ち着いた藍の雰囲気がたまらないコーディネートですね。
藍の絣の木綿も一反欲しいなぁ
エントリーナンバー35
出展者:浅見
コーディネート名:秋さんぽ
コメント:親子や家族での催しやお出かけに楽しんでほしい、簡単に着られる普段着用こども着物です。今回は男の子向けにコーディネートしました。モノトーンで統一した着物とポンチョは、色鮮やかな行楽シーズンにも映えるお勧めしたいコーディネート。自転車や文字の飛んだ柄でよりアクティブな雰囲気を加えました。
ポンチョをめくれば見えるドット柄のかわいい帯、衿やカバンの鮮やかな黄色がモノカラーを引き立てています。
普段着用の子供着物のため細かいルールを気にせず、寒い時は長袖のインナーを重ね着したり、たくさん歩く日は運動靴を履くことも可能です。お好きなアレンジも楽しんでください。
こちらは子供用の普段着着物です。
着やすさ、お手入れのしやすさを第一に考え、子供が大きくなったらサイズの調整も簡単に行えるスグレモノ。
子供に着せたい!絶対かわいい!と思ったけど子供いませんでした。
友人夫婦に贈ろうか考え中です。
エントリーナンバー46
出展者:ワタマサ
コーディネート名:MADE IN TANGO 〜洗える絹の着物〜
コメント:丹後織と呼んでいる当社の織物は、出来る限りの工程を丹後で行っています。
残念ながら生糸は丹後製ではありませんが、撚糸・整経・製織・精錬・染色・整理などほぼすべての工程を自社工場並びに組合の運営する加工場で行っています。
その丹後織の特性を活かして開発した着物が、洗える着物です。
もちろん絹ですので、毎日お洗濯という訳にはいきませんが、余計な薬品は使わずに絹本来の良さを生かした洗える着物です。
こちらも織模様が恐ろしい程精密なワタマサさんのコーディネート。
ここの反物は見ただけで欲しくなってしまいますが、触ると更に欲しくなってしまいます。
3本も4本も欲しい反物ができてしまったので、ワタマサ貯金を始めなくてはなりません。
反物のクオリティーがとても高いので、良いお召が欲しいという方は是非ご検討を!
エントリーナンバー48
出展者:あづやまきものひろば
コーディネート名:シャープウェーブ
コメント:三河木綿X有松絞りでシャープな大人カッコイイ着物を作りました。
柄は片身頃と片袖のみにまとめ、スッキリと見えます。
軍隊絞りという技法を用いており、柄の尖った部分はたくさんの生地が重なるため、鋭角にするには高い絞りの技術が求められます。
1点ずつお作りするため、色の変更も対応可能です。
こちらの単衣着物のご着用目安は10月〜4月です。
しかも、ご家庭で気軽に洗えて経済的!
普段着着物でおなじみのあづまやさん。
反物の一部分にだけ絞りをつけて、仕立てによってかっこ良く仕上がっています。
こういったおしゃれが出来るのも、染めや仕立てに自由が効く着物ならではかもしれませんね。
エントリーナンバー49
出展者:藤井絞
コーディネート名:絞り染め 木綿着物 慈雨-じう-
コメント:「恵みの雨」を意味する【慈雨】肩から袖にかけての大きな雲と降り注ぐ雨を絞りで表現しました。雪花の帯揚げで帯周り華やかさを。ずっと触っていたくなる絹のようなしなやかさがありながらもご家庭でしっかりお洗濯いただけます。
生地は藤井絞オリジナルの備長炭繊維入り木綿
こちらは藤井絞さんの絞りの着物。
絞りのデザインのみならず、そのデザインに込められた意味や背景、物語があると愛着がぐっと湧きますね!
この雲と恵みの雨のデザインはとても良い感じです。
欲しい…。
エントリーナンバー59
出展者:kaonn-日音衣-
コーディネート名:Party Shiny style
コメント:パーティーシーンでキラキラと輝く女性をイメージしたコーディネートです
着物は銀糸を織り込んだkaonn-日音衣-オリジナル正絹生地にお好きな色をお染めするタイプです。
こちらはkaonn-日音衣-さんのよそ行きコーディネート。
キラッとしたデザインの着物に綺麗めな帯、アクセントのある帯留めで、まさにパーティー仕様になっていますね。
控えめなブルーも素敵です。
エントリーナンバー60
出展者:吉澤暁子きもの着付け教室
コーディネート名:孔雀の羽根
コメント:普段着に気軽に使える半幅帯に〈墨流し〉という伝統的な技法を取り入れました。
少し紫やピンクを感じる〈大人の赤〉は「森の木苺」のイメージで。
ペパーミント色にはグレーや青の墨流しで「孔雀の羽根」を表しました。
無地の部分と墨流しの2配色なので、帯の結び方次第でいろんな表情を楽しめます。
帯締めを使って、少しきちんと目に見せるのも素敵だと思います。
お気に入りの着物に合わせて、たくさんの表情を見つけて下さい。
こちらは大人かわいい墨流し染めの半幅帯のコーディネート。
着物はシンプルなものを選び、帯や羽織に遊びを効かせておしゃれに着飾るテクニック。
こういった組み合わせや技を使ったおしゃれが楽しめるのも、着物の楽しさですね!
会場にはたくさんのコーディネートが並んでいましたが、その中からピックアップしてご紹介させていただきました。
着物サローネは、着物がもっと楽しみたくなるイベントでした。
着物仲間の皆さんともお会いできましたし、その着物仲間のコーディネートから学ばせてもらえることも多く、とても楽しく過ごすことができました。
また来年も是非、楽しみたいと思います。
着物サローネに行ってみたい!という方がおりましたら、ご一緒にいかがですか?